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東京ホテイソンの“スキサガシ” たくさんある中の「好き」が「仕事」に変わった時。– あの人の履歴書vol.12
「やりたい仕事が見つからない」「好きなことを仕事にしたいけど、好きなことがわからない」。そんな悩める就活生に向けて、自分の「好き」を見つける“スキサガシ”を応援するインタビュー企画の第12弾! 今回登場するのは、漫才はもちろん「ラヴィット!」(TBS)や「FNS27時間テレビ」(フジテレビ)など、バラエティ番組での活躍にも注目が集まっている東京ホテイソンのお二人です。 それぞれのキャラクターや、結成当初のお笑いに対する姿勢も正反対な二人。今回はそんな彼らが考える、「好き」を仕事にすることや活躍の幅を広げ続ける方法についてお聞きしました。
東京ホテイソンさんの履歴書
正反対な性格の二人が出会ったきっかけは、ネット掲示板での相方募集。
——テレビに舞台にYouTubeとお忙しく活動されているお二人ですが、お笑い芸人という仕事を始めたきっかけは何だったんですか?
ショーゴ:自分は高校1年生の時、「ガキの使いやあらへんで」(日本テレビ)でダウンタウンさんのフリートークを見て、「おもしろい!」と衝撃を受けたんです。それ以来、お笑いの魅力にどっぷりとハマって、この世界に入りたい!と志すようになりました。
たける:僕の場合は、小さい頃から目立ちたがり屋で、たくさんの人の注目を集める職業にずっと憧れていました。人から注目されるなら何でもよかったので、別にお笑い芸人が一番の夢というわけではなかったんです。そんな半端な気持ちでネットの相方募集掲示板に投稿した一発芸動画に、ショーゴが反応してくれたのが、この仕事を始めたきっかけですね。
——出会った頃は、少し温度差があったんですね。そんなお二人が、お互いどうしてコンビを組もうと思われたのでしょうか?
ショーゴ:自分はどちらかと言えばちょっと強面(こわもて)な印象を抱かれやすいし、陰か陽かでいうと間違いなく「陰」。お笑いコンビとしてのバランスを考えた時に、自分と違って底抜けに明るくてポップなやつと組みたいと思っていたんです。まさに、たけるみたいな奴(笑)。
たける:僕は僕で、ネタの書き方なんて何一つわからなかった。面白いネタが書けるショーゴに対して、すぐに「自分には真似できないな」と思った記憶がありますね。
大事な仕事に遅刻し、交差点で土下座。たけるが「本気」になった転機。
——コンビを組んでから、たけるさんの意識は変わりましたか?
たける:いえいえ、それが「仕事としてやっていくぞ!」みたいなことは1ミリも思っていなくて。大学に通っていたのが、大きかったんでしょうね。しばらくは趣味感覚で、 「4年生になったら就活すればいいや」と考えていました。
ショーゴ :だからこちらとしては、不満と不安が募りますよね(苦笑)。だけど、「エンタの神様」(日本テレビ)への出演が決まった時のこと。当時まだ芸歴が浅かった僕らにとっては、その後の芸人としてのキャリアにも関わる大事な局面だったんですけど、あろうことか、そのネタ合わせにたけるは遅刻してきたんですよ……。
たける:もう、本当に申し訳なくて。新橋のでっかい交差点で「なんで、いつも俺はこうなんだ!」って土下座してショーゴに謝りました。いつまでも趣味気分でいちゃだめだ、とやっと気持ちを切り替えたんです。それからはもちろん、今に至るまでお笑いに仕事として真剣に取り組んでいます。
お笑いという仕事は「好き」だけど、好きじゃなくなる瞬間もある。
——ようやくお二人の足並みが揃って、そこから芸歴9年目にして今のようなご活躍。はた目に見ると順風満帆ですが、仕事の中で「つらかった……」と思い返すような時期はありますか?
たける:ありがたいことに、僕らってテレビに呼んでいただくようになったのがすごく早かったですからね。仕事における下積み時代とか泥水をすすっていた時期、みたいなのがあんまりないんです。
ショーゴ :ただ自分たちなりに、つらかった時期というのはちゃんとあって、それが2019年のことでした。前年のM-1グランプリで決勝進出を逃し、「今のスタイルはもう限界なんじゃないか?」と焦る気持ちが生まれたんです。そしたら、新しいネタが1本もできなくなっちゃって……。それでも毎日ネタ合わせだけはしていたんですけど、ネタがどうしても考えられない。その状態が10カ月も続いて、さすがにすごくしんどかったですね。
——それは長いスランプですね……。その状態を、どんなふうに脱されたのでしょうか?
ショーゴ :いよいよ「もうこの仕事やめてもいいや!」ぐらいの気持ちでひねり出した「回文 」と「英語 」というネタが、思いの外すごくウケたんです。「東京ホテイソン、こんなパターンを持ってきたか!」 みたいな感じで、周りに評価してもらえた手応えがありました。
たける:客席がドカーンと沸いた瞬間は忘れられないぐらいうれしかったですし、舞台袖で見ていた芸人仲間の笑い声にも励まされました。そういう「周りの反応」があったから、ここまで続けてこられたのかも。
回文 東京ホテイソンさん公式YouTube
英語 東京ホテイソンさん公式YouTube
——もともと一番の「好き」がお笑いだったショーゴさんは、好きだからこそ仕事として続けられた、という感覚はありますか?
ショーゴ :もちろん「好き」だから頑張ってこられたんだけど、同時に「好き」以外の感情も抱くようになりました。例えば、今は賞レースの前なんかは特に気持ちに余裕がなく、他の芸人のネタを見ても心から笑えないんです。好きなはずのお笑いを「嫌い」になる瞬間も山ほどあって、心の底から楽しめないこともいっぱいある。ある意味、「好きなことを仕事にする」ってそういうことで、同時に「嫌い」になる覚悟もないとできないんじゃないかな。
——逆に、たけるさんにとってお笑いは、あくまでたくさんある「好き」の中の一つだったんですよね? そんなつらい時期をどのように感じていたのでしょうか?
たける:今でこそお笑いは「好き」ですが、そもそも僕は「一番好きなもの」「一番得意なこと」という感覚でこの仕事を始めていないからこそ、ショーゴからもらったアドバイスや指示を素直に受け止められるというメリットもあって。それに、つらい時も「これは仕事だから」と割り切れるし、自分の仕事を俯瞰で見られる。仕事としてのお笑いと、良い距離感を築けていると感じています。仕事の選び方として、ショーゴと僕のスタイルのどっちが正しいというものではなく、僕らの場合は「こんな二人だからバランスが良いのかもな」って。
継続は力なり。細かいゴールを設定し、アウトプットし続けて。
——好きなことを仕事にして活躍し続けるためのコツは、ずばり何だと思いますか?
ショーゴ :目標を細かく設定することは大事にしていますね。例えば、「コンビ結成3年目までにM-1グランプリの準決勝に行く」というのは目標にしていたし、「6年目までに決勝に行くこと」も決めていました。その次には「YouTubeでチャンネル登録者数10万人突破」を掲げて、これもしっかりと達成して。こうして細かいゴールを常に達成し続けることを大切にしています。
たける:進むことをやめず目標を一つ達成するたび、ぐっと気合が入るし自信にもなります。
——目標を達成すると自己肯定感も高まりますよね。同時に、頭の中だけで考えず行動し、人からのリアクションを得るというのも大事なことでしょうか。
ショーゴ:行動を起こして周囲からの反応を得るのは、お笑いに限らず仕事をする上でも大事なことじゃないでしょうか。他人に評価してもらえるとモチベーションにつながるし。特にクリエイティブな仕事をしたい人は、絶対にアウトプットし続けないといけないと思います。SNSでもなんでもいいからとにかく自分の活動を発表して、反応をもらい、それを創作意欲にする。そうすれば長く続けられるし、活躍の幅も広がっていくんじゃないかな。
——ありがとうございます。最後に、これを読んでいる就活生の読者のみなさんにエールをお願いします。
ショーゴ:もしも採用面接で自分なりに手応えを感じたのに「お祈り」された時は、会社のせいにしろ!って言いたいですね。そんな会社、見る目がないです。
たける:いや、すごいこと言うなあ(笑)。
ショーゴ:でも真面目にそう思います。自分たちも「これは絶対にウケる!」と思ったネタを全力でやり切って、それでもスベったらお客さんのせいにしますからね。「お客さんが悪い!」って思っちゃう(笑)。だって、僕らは全力を出して完璧にやっているわけですから。
たける:確かに。いざ自分の求めていた結果が出なかった時に誰かのせいにできるぐらい、全力で挑むことは大事だね。
ショーゴ:そうそう。そのぐらいの気持ちで頑張ってほしいと思いますね。応援しています!
——「もともと一番好きなこと」を仕事に選んだショーゴさんと、「あくまで好きなものの一つ」としてお笑いの世界に入ったたけるさん。それぞれのお笑いに対するスタンスや仕事選びの価値観が見えてくる取材となりました。そんな中で「細かい目標を達成し続けること」「アウトプットし続けて周囲の反応を得ること」は、お笑いに限らず「好き」を仕事にして活躍するための大きなヒントとなるかもしれませんね。
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(企画:株式会社ライスカレー / 取材・編集:株式会社エクスライト / 執筆:中前結花 / 写真撮影:ただ)