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【オンライン面接対策!?】 「無駄づくり」発明家・藤原麻里菜さんに「推しウェブカメラ」を作ってもらった!
面接ってめんどくさいし楽しくない
藤原麻里菜
コンテンツクリエイター、文筆家
頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。
2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始。現在に至るまで200個以上の不必要なものを作る。2016年、Google社主催「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。25,000人以上の来場者を記録した。2020年 Forbes Japanが選ぶ「世界を変える30歳未満」30 UNDER 30 JAPANに選出される。
こんにちは。藤原麻里菜です。私は無駄なものを作ることを生業にしている資本主義のバグみたいな存在で、ずっと個人事業主なので、一度も就職を経験したことがありません。しかし、無駄づくりで食べていけていなかったときはバイトを掛け持ちして働いていました。すぐにクビになるので、面接だけは誰よりも受けた自信があります。
今はオンラインで面接を行うことも多いと聞きました。実際の面接であればお任せあれという感じなのですが、オンラインはむずかしそうです。まず目線をどこに合わせていいか分からないという問題がありますし、緊張してしまって自然な笑顔で挑むこともできなさそう。そもそも、面接ってめんどくせえし楽しくない。この問題、どうにか私の技術力で解決できないだろうか……。
はっ。ひらめきました。
「推しウェブカメラ」を作れば、オンライン面接がもっと楽しくなるはずです。
「推しウェブカメラ」を作ろう
▲推しウェブカメラの設計図
「推しウェブカメラ」は、推しの顔をしたウェブカメラです。
目の部分に穴を開けてウェブカメラを仕込ませることで、オンライン面接でも、まるで、推しと話している気分になることができるデバイスなのです。これさえあれば、どんな面接官に当たっても「推しとしゃべってる……」ってなれるし、もし圧迫面接をされても「推し////」となることができそうです。推しの存在ってありがたいですね。
まずは、レーザーカッターでMDFという板を切っていきます。
レーザーカッターは指定通りの線をレーザーで切ってくれるすごいやつです。これで推しの形とウェブカメラを覗かせる穴を切り出しました。現代の技術に感謝です。
自立するように切った角材をボンドでくっつけます。そして、ウェブカメラを良い感じの位置に固定しました。
ちゃんとボルトで固定しました。こういう細かいところにこだわります。
推しの画像をプリントアウトして、輪郭に沿って切ります。権利の関係でフリー素材の中から推しに似たイラストを選ばせていただきました。
精神を統一し、邪念を捨て、切ります。こういう修行があったら一生やってたいです。
切ったものを貼り付けたら……。
「推しウェブカメラ」の完成!
完成しました! 推しウェブカメラです。過去最高な出来〜!!! わたしがモンドセレクションの人だったら入賞させてるわ! わーい!
左目にウェブカメラが仕込まれているので、改造されサイボーグ化したみたいになっていますが、推しは改造されても尊いので平気です。なんかあれだな、イカゲームでこういうマシーンあったね。
この発明品があれば、オンライン面接にもとびきりの笑顔で挑めるはずです。
もう緊張せずに面接できるぞ……! それでは、使ってみましょう。
「推しウェブカメラ」を使うと……?
使ってみます。
面接官が推しのように錯覚しながら面接をすることができます。しかも、目の部分がカメラになっているので、ずっとカメラを見つめながら受け答えができるという最高なデバイスになりました。
ただ、私は激人見知りなので、イラストといえども人の目を見て話すのはちょっと恥ずかしかったです。
見てください。このはじける笑顔……。面接中だとは思えないですね。好きな人にしか見せない笑顔を面接官に振りまいちゃいましょう。
「長所ですか……へへ……ちょっとドジなところもあるんですけど……何事にも一生懸命頑張るところカナ?」と言っています。推しに長所を聞かれる体験なんてそうそうできないので、面接官に感謝です。
ところどころ「ぐふ」「へっ」「ふっ」「やばい。無理。このまま見ていると本気で好きになっちゃう……」と言いながらも、終始笑顔で面接を終えることができます。公私混同をするなってよく言われますが、これからは公私混同の時代だと思います。
就職活動ってどうしても心が窮屈になると思うのですが、そこでどんな結果になっても人生の価値を左右するものではないと思います。だから、ちょっとだけ肩の力を抜いて、楽しみを見いだしながら行うといいんじゃないかなと、ほぼ無職の私は思います。ほぼ無職の私の話なので、話半分に聞いてくれたら助かりますが、推しウェブカメラがあれば、就職活動を楽しめるってことはマジです。みんな作ろう。
ただ、「CV(キャラクターボイス)が違う……」と、我に返ってしまうので、面接官がイケボなことを祈りましょう。
編集部が直撃! 唯一無二のクリエイター、藤原麻里菜さんの仕事論とは?
ここからはウェブ面接を乗り切る「推しウェブカメラ」を発明してくれた藤原さんを、『就活note!』編集部が直撃! ご自身のキャリアと仕事論をお伺いしました。
──今回の「推しウェブカメラ」は、どんな状況で思いつかれたのでしょうか?
藤原「普段、オンラインミーティングを行うことが多いのですが、相手と目線を合わせられないし、カメラを見続けるのも慣れない悩みがありました。なぜかずっと下を向いている状態になってしまうから、『生身の人間っぽいウェブカメラがあったら解決するのになあ』と思っていたところで閃きました。『どうせだったら好きな『推し』の写真に話す感じなら気分も上がるはずだ!』と。
自分の表情もキレイに映りつつ、「推し」のビジュアルも崩さないカメラの位置の調整が、地味な作業ながらも苦労しましたね。」
──藤原さんがウェブ面接をされたとして、どんな「推し」の面接官だったらテンションが上がりますか?
藤原「実際に、オーディション番組から出てきた男性アイドルの『推し』がいます。アイドルになれるかわからないという極限の状況で頑張っている姿を見ると思わず推したくなりますね。そのシステムはまるで就活なんじゃないかと思います。みんな『アイドル』に就職したくて自己PRを頑張っていました。実際に参加者の中には大手企業の内定を蹴って参加されている方もいて。
私の『推し』はダンスが上手くて身体能力が高いというアピールポイントがあります。出会った当初、私は心がすさんでいたのですが、『推し』が就活をする姿のおかげで救われました。」
ひとつの仕事に固執しないことで、成功が生まれる
──これまでの藤原さんご自身のキャリアについてもお聞かせください。
藤原「高校卒業後、『なんでもいいから面白いことをして食べていきたい』と思い、芸人を目指して吉本興業の養成所に通いました。その後、吉本興業所属の芸人になり、YouTubeチャンネルで『無駄づくり』(リンクに)を始め、現在に至っています。ただ、無駄づくりだけで食べて行けるようになるまで3年かかり、それまでは色々なバイトをしていました。」
──例えばどのような職種ですか?
藤原「居酒屋やコワーキングスペースの受付などです。私、こう見えて接客が得意なので、バイトリーダーも任されていたんですよ(笑)。だから、もし芸人の道がダメだったらバイト先の正社員になれるだろうという気持ちはありました。」
──面接もお得意でしたか?
藤原「いや、そんなことはないです! なかなか接客が得意という点を雰囲気から見抜いてもらえず、すぐに『君、向いてないね』って落とされることもありました。あと、これは完全に私が悪いのですが、履歴書を忘れてしまったことがあり……。その時はお相手にブチ切れられましたね。トラウマです……。」
──特に就活だと、そういった失敗や怒られた経験って心が折れてしまうと思うのですが、どのように乗り越えたのでしょうか?
藤原「ひとつの仕事に固執しないことでしょうか。私は色々なことに興味があり、やりたい仕事がいっぱいあったので、『こっちがダメならこっちがある』って切り替えていましたね。実は、『無駄づくり』も本来やろうとしていた方向性とは違うものなんですよ。
──と、言うと?
藤原「本当は、家にある物で『巨大からくり装置』を作るというYoutube動画を投稿する予定だったんです。でも全然できあがらなくて。そうこうしているうちに動画投稿日が近づいてきてしまい、どうにか何かを発信しなければならないという状況になってしまったんです。
で、『あ、これ『無駄を作りました』ということにすれば成功になるじゃん』って思いつき、『無駄づくり』という作品にしたんです。」
▲『無駄づくり』で「Airpodsを自動でコントロールするデバイス」を開発する藤原さん
仕事中は「仏の視点」を持って、どんな状況も楽しむ
──なるほど。「本来やりたかったこと」に固執しないからこそ、生まれたんですね。他に、働く上での哲学はありますか?
藤原「働いている時は『仏の視点』を持って、仕事は『余生』だと思うことですかね。居酒屋だと酔っ払って信じられないようなクレームを言ってくる方もいたので、あまり感情を引っ張られ過ぎないようにしていました。生きていればこういう人に出会うこともあるんだなあと、人間界を体験している『仏』のマインドです。そうすると、『これも全て経験』と思えて、どんな状況でも楽しめるようになるんですよ。」
──それって色んな職業で使えるマインドですよね。
藤原「そうだと思います。仕事って生活の大部分を占めているので。どうしても自分の価値やアイデンティティがあると思いがちなのですが、自分自身の人生はきちんと守ってあげた方がいいと思います。例えば、働く時間だって頑張って1日6~7時間くらいに縮めて、休み時間を死守する。そういう働き方が良いと思っています。」
──藤原さんの様なクリエイターの方は、24時間365日仕事に向き合っているのかと思っていました。
藤原「『無駄づくり』というすごく好きなことを仕事にしていても、働く時間とそれ以外は明確に分けています。ここ数年、語学を勉強することが好きなので、朝起きたらお昼過ぎまでその時間に充てて、午後はアトリエに行って作品づくりをして、帰ってきたら読書をしたり映画鑑賞をしたりドラマを見たり。仕事に関係ないそういった自分の時間を確保することが大事。何かに興味を持つ余裕が、人生を豊かにすると思っています。
―最後に、いま頑張っている就活生にメッセージをお願いします。
藤原「自分自身を大切にしてほしいです。まずは温かくして、健康的な食事をとってしっかり寝る。基本の生活を守りながら頑張ってください。
(寄稿文/藤原麻里菜 インタビュー/菱山恵巳子 編集/高山諒+ヒャクマンボルト)
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