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クレーン免許の種類と難易度・取得費用|ホイストクレーン(天井クレーン)は資格がいらない?
クレーンの運転・操作を行うには資格が必要になりますが、クレーンの種類やつり上げ荷重に応じた複数の資格が設けられています。特に製造業の現場では天井クレーン(ホイストクレーン)が導入されていることが多いですが、操作にはどのような資格が必要になるのでしょうか? クレーンの運転・操作に関わる免許・資格の種類によって異なる特徴や、運転できるクレーンを紹介していきます。
クレーンの運転・操作に必要な免許・資格の種類一覧
クレーンの運転・操作に必要な免許・資格はいくつもあり、名前も似通っていることから、わかりにくく感じることはありませんか? 労働安全衛生法によるクレーンに関わる免許・資格は、クレーンの構造による種類やつり上げ荷重などによって分類されています。
クレーンの資格には「免許」「技能講習」「特別教育」があります。作業の危険度によって必要な資格が分類され、免許>技能講習>特別教育という関係性があることから、基本的に上位の資格を持っていれば下位の資格の業務も行うことが可能です。
分類 | 概要 |
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免許 | つり上げ荷重5トン以上のクレーン・デリックの運転には基本的に免許が必要です。運転できるクレーンの種類によって、4種類の免許があります。
●クレーン・デリック運転士免許(限定無し) |
技能講習 | 技能講習の修了によって運転できるクレーンがあるほか、つり上げ荷重1トン以上のクレーンの玉掛け業務に就くには、技能講習の修了が必要です。
●小型移動式クレーン技能講習 |
特別教育 | 特別教育は受講のみで取得できる資格のため、取得難易度は低いです。しかし、たとえば「クレーン運転の業務に係る特別教育」では、移動式クレーンを除くつり上げ荷重5t未満のクレーンの運転に限られるなど、対応できる業務の範囲が限定的です。
●クレーン運転の業務に係る特別教育 |
それぞれの免許・資格について詳しく紹介していきます。
クレーン免許の種類
つり上げ荷重5トン以上のクレーンを運転できる免許は4種類あり、運転が可能なクレーン・デリックの種類に違いがあります。
クレーン免許を取得するには、安全衛生技術センターで実施される学科試験と実技試験への合格が必要です。ただし、各都道府県労働局長登録教習機関の教習所で実技教習を受講して修了すると、実技試験が免除されます。
免許の種類 | 運転可能な種類 |
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クレーン・デリック運転士免許(限定無し) | 移動式クレーンを除く、すべてのクレーン・デリック |
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定) | 移動式クレーン以外のすべてのクレーン |
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定) | 床上運転式クレーン・床上操作式クレーン、つり上げ荷重5トン未満の移動式クレーンを除くクレーン |
移動式クレーン運転士免許 | すべての移動式クレーン(行動の走行には道路交通法による運転免許証が必要) |
クレーン・デリック運転士免許(限定無し)
クレーン・デリック運転士免許は、移動式クレーンを除いて、つり上げ荷重5トン以上を含むすべてのクレーン・デリックを運転できる資格です。
クレーンは単体で荷のつり上げを行うのに対して、デリックはマストまたはブームがあり、原動機のついたウィンチ(巻上機)でワイヤーロープを操作するタイプのものを指します。デリックの運転を行う可能性がある場合には、限定なしでの免許取得が望ましいでしょう。
正式名称 | クレーン・デリック運転士免許 |
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用途・運転できるもの | 移動式クレーンを除く、すべてのクレーン・デリック |
難易度・合格率 | 2021年:学科65.9% / 実技17.9% |
受験料 | 学科:6,800円、実技:11,100円 |
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)は移動式クレーンを除いて、つり上げ荷重5トン以上を含むすべてのクレーンを運転できる資格です。クレーン限定免許では、デリックを運転することはできません。
正式名称 | クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定免許) |
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用途・運転できるもの | 移動式クレーンを除く、つり上げ荷重が5トン以上を含むすべてのクレーン ※建設現場などで天井クレーンや橋形クレーン、ジブクレーンなどを運転 |
難易度・合格率 | 2021年:学科57.7% / 実技48.5% |
受験料 | 学科:6,800円、実技:11,100円 |
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)はつり上げ荷重5トン以上の床上運転式クレーンのほか、床上操作式クレーンが運転できる免許です。また、移動式クレーンを除く、つり上げ荷重5トン未満のクレーンの運転もできます。
床上運転式クレーンは、主に工場などの天井に設置されています。操作スイッチが天井のガータ(桁)についていて、クレーンの走行とともに運転者が移動するタイプのクレーンです。
また、クレーンのフックに荷を欠ける作業や外す作業を玉掛けといいます。床上運転式クレーンに限ったものではありませんが、最大つり上げ荷重が1トン以上のクレーンを使用して玉掛けを行う場合には、後述する玉掛け技能講習、1トン未満でも玉掛け特別教育の修了が義務付けられています。
正式名称 | クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定免許) |
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用途・運転できるもの | つり上げ荷重が5トン以上の床上運転式クレーン・床上操作式クレーン、移動式クレーンを除くつり上げ荷重5トン未満のクレーン ※工場内の天井クレーン(床上運転式クレーン)などを運転 |
難易度・合格率 | 2021年:学科45.5% / 実技66.1% |
受験料 | 学科:6,800円、実技:11,100円 |
移動式クレーン運転士免許
移動式クレーン運転士免許は、つり上げ荷重5トン以上を含むすべての移動式クレーンを運転できる免許です。ただし、公道を走る際には道路交通法にもとづく運転免許証が必要です。
移動式クレーンとは、荷を動力によってつり上げる装置があり、原動機を内蔵していて不特定の場所に移動できるクレーンをいいます。トラッククレーンやホイルクレーンといった種類があります。
正式名称 | 移動式クレーン運転士免許 |
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用途・運転できるもの | つり上げ荷重が5トン以上を含むすべての移動式クレーン(公道の走行には道路交通法による運転免許証が必要) ※建設業でニーズが高い |
難易度・合格率 | 2021年:学科64.2% / 実技64.4% |
受験料 | 学科:6,800円、実技:11,100円 |
クレーン運転技能講習の種類
技能講習は、学科・実技の講習を受け、修了試験に合格すると、技能講習修了証明書が交付されます。
講習は全国の都道府県労働局長に認可を受けた登録教育機関の教習所で受講できます。資格によって学科と実技のそれぞれの講習時間が決められていますが、所有する資格によっては一部の科目の免除を受けられます。
クレーンの運転に関連する技能講習には、小型移動式クレーン運転技能講習と床上操作式クレーン運転技能講習があり、運転できるクレーンには違いがあります。また、クレーンの玉掛けに関する技能講習として、玉掛け技能講習が設けられています。
小型移動式クレーン運転技能講習
小型移動式クレーン運転技能講習はつり上げ荷重5トン未満の移動式クレーンを運転できる資格です。小型移動式クレーン運転技能講習を取得しても、公道の走行には道路交通法による運転免許証が必要です。
また、小型移動式クレーン運転技能講習は移動式クレーン運転免許よりも、取得の難易度が低いです。
正式名称 | 小型移動式クレーン運転技能講習 |
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用途・運転できるもの | つり上げ荷重が5トン未満の移動式クレーン(公道の走行には道路交通法による運転免許証が必要) ※建設現場などでトラッククレーンやクレーン機能付きドラグショベルなどを運転 |
受講時間 | 学科13時間 / 実技7時間 |
受講料 | 3万円程度 |
床上操作式クレーン運転技能講習
床上操作式クレーン運転技能講習は、5トン以上の床上操作式クレーン(無線式を除く)のほか、移動式クレーンを除く5トン未満のクレーンの運転ができる資格です。
床上運転式クレーンと床上操作式クレーンは、床上で運転するという点は同じです。床上操作式クレーンは荷をつってガータを移動するトロリに操作スイッチがついているため、運転者は常につり荷とともに移動が必要という点が異なります。また、床上操作式クレーンは運転者が横にも動く必要があり、床上運転式よりも運転者の移動が多くなります。
床上操作式クレーン運転技能講習は、通常3日間での学科や実技の教習のほか、修了試験が実施され、クレーン関係の資格の中でも、比較的取得の難易度は低めです。
正式名称 | 床上操作式クレーン運転技能講習 |
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用途・運転できるもの | 5トン以上の床上操作式クレーン(無線式を除く)、移動式クレーンを除く5トン未満のクレーン ※工場内の天井クレーン(床上操作式クレーン)などを運転 |
受講時間 | 学科13時間 / 実技7時間 |
受講料 | 2万~3万円程度 |
玉掛け技能講習
玉掛け技能講習は、つり上げ荷重1トン以上のクレーンなどの玉掛け業務を行うための資格です。
クレーンの運転に関する免許・資格を持っていても、玉掛けに関する資格は別途必要になります。クレーンの運転者だけではなく、玉掛け作業者も安全に作業を行うためには、クレーンなどの種類や構造、機能、安全装置などの特徴に関する理解が必要です。クレーンで荷をつり上げる際は荷が落下するリスクがあるため、玉掛けに関する知識が必要とされることから、資格が設けられています。
たとえば、工場の仕事で天井クレーンを運転する場合に、クレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)や、床上操作式クレーン運転技能講習の資格を持っていても、玉掛けに関する資格がなければ、荷のつり上げができるだけで、荷をフックにかけて運搬する作業全体を担当することができません。
正式名称 | 玉掛け技能講習 |
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用途・運転できるもの | つり上げ荷重1トン以上を含むクレーンなどの玉掛け業務 |
受講時間 | 学科5時間 / 実技4時間 |
受講料 | 2万2,000円程度 |
クレーン運転の業務に係る特別教育
クレーン運転の業務に係る特別教育を受講することで、つり上げ荷重5トン未満のクレーンの運転を行えます。各事業所で実施するか、労働局長登録教習機関である教習所で受講が可能です。
講習を実施する機関によっては修了試験を行っていますが、法的な位置づけのあるものではなく、原則として受講すれば修了証の交付を受けられます。
正式名称 | クレーンの運転の業務に係る特別の教育 |
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用途・運転できるもの | つり上げ荷重5トン未満のクレーン |
受講時間 | 学科9時間 / 実技4時間 |
受講料 | 1万2,000円~1万3,000円程度 |
初心者は天井クレーン(ホイストクレーン)の操作資格取得がおすすめ
製造業の現場で広く採用されているクレーンは天井クレーン(ホイストクレーン)です。そのため、天井クレーンを運転する資格を取得していれば、仕事の幅が大きく広がります。
つり上げ荷重5トン以上の天井クレーンでも、床上操作式クレーンであれば「床上操作式クレーン運転技能講習」を取得することで運転が可能であり、難易度は高くありません。また、つり上げ荷重5トン未満の天井クレーンであれば、「クレーン運転の業務に係る特別教育」で運転が可能。こちらはより取得しやすい資格になります。
そのため、初心者には、まずは「クレーン運転の業務に係る特別教育」や「床上操作式クレーン運転技能講習」の取得がおすすめです。
1トン未満のホイストクレーンは「玉掛け特別教育」の受講も視野に
つり上げ荷重1トン未満の天井クレーン(ホイストクレーン)であれば、玉掛けは玉掛け特別教育の修了で行うことができます。また、運転に関してもクレーン運転の業務に係る特別教育の取得で可能になるため、仕事に就くための資格のハードルが低いといえます。