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2020/02/13

国内外の名車が140台も!? クルマ好きの聖地「トヨタ博物館」に行ってみた【02.国産車の発展史編】

モノづくり

トヨタ車にかぎらず、自動車そのものの歴史を数多くの名車とともに紹介する「トヨタ博物館」。前回はヨーロッパ・アメリカにおける自動車の発明から第二次大戦後の定着までを紹介してきましたが、今回はいよいよ戦後の日本車の発展をメインにレポートしていきます!

戦後の日本車〜自動車の成長と日本の復興

 

こんにちは、デザイナー/ライターの池田明季哉です!

日本最強の自動車ミュージアム「トヨタ博物館」をご紹介するこの記事。海外の自動車を中心に見ていった前回に引き続き、今回は日本の車について掘り下げていきます。

(前回の記事はこちらへ。)

 

▼前回に引き続き、案内してくれる方は……

  • 人物紹介:平田雅己(ひらた・まさみ)さん
    生産技術担当としてものづくりの現場にかかわる。トヨタ本社に36年間勤務の後、2014年よりトヨタ博物館勤務。

 

  • 人物紹介:次郎坊浩典(じろうぼう・ひろのり)さん
    デザイナーとして、長年トヨタ自動車のデザイン部でトヨタ、レクサスの車両のカラーデザインなどを担当。2016年よりトヨタ博物館勤務。

 

次郎坊:日本での自動車開発が本格化するのは、やはり戦後のことですね。とはいえ、いきなりすごい自動車が作れたわけではありません。この自動車を見てみてください。

 

 

フジキャビン

池田:なにこれ! なんだかかわいいですね。

 

 

次郎坊:1955年に作られた富士自動車(現:小松製作所)の「フジキャビン」という自動車です。自動車といっても、3輪のキャビンスクーターですね。今見るとかわいく見えますが、FRPボディを使った先進的な設計で、国民みんなが乗れる自動車を、ということで、真面目に作られたものなんですよ。残念ながら、売れませんでしたが(笑)。

池田:売れなかったんですね。僕は乗りたいけどなあ。

 

 

スバル360

平田:そこでいうと、小さな国民車の大ベストセラーは、なんといってもこの富士重工業(現・SUBARU)「スバル360」でしょう。これは1959年の「スバル360 K111型」です。こうした自動車が生まれて、ようやく戦後の国民みんなが、徐々に自動車に乗れるようになっていったわけです。

池田:急速に復興していく日本の姿が、クルマにも表れているような気がしますね。

 

 

ランドクルーザー

平田:この頃は、まだまだ日本の自動車は世界に通用する品質には至りませんでした。1957年の「トヨタ ランドクルーザー」は、トヨタが海外への輸出実績を作るために貢献した自動車ですね。

 

 

平田:ランドクルーザーはもともと、現在の自衛隊の前身である警察予備隊のために開発された自動車です。ところが輸出してみると、高い悪路走破性と頑丈さで、海外で大ヒットしました。

池田:人力車だった頃から比べると、隔世の感がありますね。日本、がんばったんだな……。

 

 

誰もが求めた国民車〜サニーvsカローラ

 

平田:1960年代になると、日本は大きな経済成長を迎え、これまでとは比べものにならないくらいたくさんの人が、自動車を求めるようになっていきます。

 

 

パプリカ

平田:その原点のひとつが、1961年に生産をスタートしたこの「トヨタ パブリカ UP10型」です。

 

 

池田:スバル360に比べると、だいぶ大きくなりましたね。シンプルでかわいいデザイン。

平田:それでも当時は、あまり売れなかったんですよ。

池田:これも売れなかったんですか……。僕がいいなと思う車は、だいたい売れてませんね(笑)。

平田:日本の経済成長は想像以上で、その頃には大衆はもっと高級感がある自動車を求めていたんです。

そんな時代に応えて出てきたのが、1966年に登場した「日産 サニー」と「トヨタ カローラ」です。

 

こちらがサニー。

 

 

 

こちらがカローラです。

 

 

池田:なんだか、ずいぶん似た見た目という感じが……。

次郎坊:この2台はライバルでね。同じクラスの自動車として、熾烈な競争を繰り広げたんです。

 

 

次郎坊:先に発売されたサニーのエンジン排気量が1リットルだということで、カローラは慌てて排気量を1.1リットルにしたんです。そのときのキャッチコピーが「+100ccの余裕」というものです。

池田:ええっ(笑)。

次郎坊:すると今度はサニーが排気量を1.2リットルにして、「隣のクルマが小さく見えます」というコピーで売り出した。すごい競争意識でしょう? そうやってお互いに刺激しあいながら成長することで、日本のモータリゼーションをけん引したんですね。

池田:なりふりかまわない戦いが展開されていたんですね(笑)。僕はずっと景気の悪い時代に育ったので、そういう雰囲気、すごく新鮮です。競争することそのものがかっこいい、がんばっただけ成長する、という時代の空気を感じます。

 

 

次郎坊:それじゃ、とっておきのやつ、行きましょうか。

平田:おおっ、例のアレですね……?

 

 

平田:それでは、まずこちらにおかけください。

池田:うわーっ、いきなりオシャレな空間が!

平田:これは1960年代の書斎をコンセプトに、当時のかっこいいアイテムを並べてあります。

池田:なるほど……。ビル・エヴァンス・トリオのレコードがある。当時はジャズがかっこよかったんですね。

平田:それではあちらをご覧ください。

 

 

平田:「トヨタ 2000GT」です! この車は1969年にマイナーチェンジをした後期型です。

池田:美しい……! 実物を見るのは初めてですが、美術品みたいなクルマですね。

次郎坊:「世界に通用するスポーツカーを」というコンセプトで作り上げられた、日本の自動車史に残る名車ですね。

池田:うーん、どのアングルから見てもかっこいい。

 

 

平田:私は『サーキットの狼』という漫画の、隼人・ピーターソンというキャラが好きなんですよね。日本人のキャラクターがみんな外国のスポーツカーに乗っているのに、いわゆる「ハーフ」である隼人・ピーターソンは「ユーたち日本人なのに、どうしてそう外車に乗りたがるのかね?」と言い放つ。こいつはいったいどんな自動車に乗っているんだろう? と思わせて、ページをめくると……バーン!という書き文字とともに、トヨタ2000GTが現れるんですよ。それがとにかくかっこよくてね。

次郎坊:どちらかというと悪役で、レースのスタイルはけっこうダーティなんだけどね(笑)。

池田:海外からも認められる日本のスポーツカー、というスタンスがよくわかります。

 

 

 

 

未来へ向かう新世代自動車〜もっと安全に、もっとクリーンに

次郎坊:80年代になると、未来を感じさせるデザインの車も出てきます。これは1981年の「トヨタ ソアラ 2800GT EXTRA」。

 

 

池田:いかにも高級ですという感じのカラー! そして外観は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に出てくる「デロリアン」にも通じるものがありますね。

次郎坊:中もちょっと覗いてみてください。

 

 

池田:メーター類が電子化されている! SF映画みたいですね! でも……パネルですね。

次郎坊:さすがにエンジンをかけて点灯はできないので、パネルです(笑)。これはお医者さんや弁護士さんのような、知的な職業の人に向けたデザインでした。こうして表示をすべて電子化するのは、今でこそ当たり前ですが、当時は最先端の技術だったんですよ。

池田:自動車にもエレクトロニクスの波が押し寄せたわけですね。

 

 

次郎坊:社会の状況が変わると、車も変わるんです。60年代後半からは、自動車が増えすぎて交通事故が多発し「交通戦争」と言われるような状況が生まれていきます。それに、排気ガスによる環境問題も深刻化していく。1970年代以降は「安全であること」「クリーンであること」が、自動車の新しい価値になってくるんです。

 

 

池田:これは見たことある! 最初の「プリウス」ですね!

平田:世界初の量産型ハイブリッド車であるプリウスも、そういった流れで1997年に生まれました。ガソリンエンジンと永久磁石式同期モーターを使って走る機能は、今ではすっかりスタンダードになっていますが、当時としては非常に革新的なものだったんです。

 

 

平田:さらにトヨタでは、2014年から「ミライ」という量産乗用車では世界初の水素燃料電池車も作っています。水素を反応させて走るので、空気中の酸素と反応して水しか出さない、クリーンな車です。

池田:技術的にはどんなハードルがあったんですか?

平田:いろいろあるのですが、水素を安全に高圧で貯蔵するために、タンクを非常に高い圧力に耐えられるようにしなければならないんですね。水素ステーションの整備もこの点がハードルになっているのですが、徐々に数は増えてきています。

 

 

平田:私はよく、こういう話をするんです。1900年代は、蒸気、電気、ガソリンの3種類の動力源をもったクルマが登場し、結果としてガソリンが主流になっていったんですね。実は今も同じなんじゃないか。これまで主流だったガソリンに、電気自動車と燃料電池自動車が加わって、やがて新しく主流になる自動車が生まれてくる。そんなタイミングなのではないかと思っています。

池田:ここまで自動車の過去100年を振り返ってきたと思うのですが、今から100年後がどうなっているのか楽しみですね。トヨタ博物館、100年後もまだありそう(笑)。

 

 

自動車にまつわるあらゆるアイテムが揃った文化館 〜移動は文化

平田:さすがに100年だとわかりませんが(笑)、今年はちょうど開館30周年なんです。そこで先日「文化館」という別館に新しい常設展示を作りました。ご案内しましょう。

 

 

池田:な……なんですかこの部屋!?

 

 

平田:これが「クルマ文化資料室」です。ポスターからプラモデルまで、自動車に関係するさまざまなアイテムを揃えています。自動車そのものではなく、自動車文化について理解を深めてもらうための展示ですね。

 

 

池田:ものすごい数のミニカーがある!

次郎坊:これはすべて1/43の統一スケールで、時系列に並んでいます。

池田:もちろん、ひとつひとつ並べた、ということですよね……?

次郎坊:スタッフがものすごく頑張って並べてくれました。本当は僕がやりたかったんですけど……(笑)。

 

 

平田:ミニカーにマークの付いているものは、実車が展示されているので、ぜひ実車と見比べてほしいですね。

 

 

池田:おおっ、ちゃんとトランスフォーマーもある! 自分の好きなものがこうして飾られていると嬉しいですね。自動車文化の一端を担っていると見なされているんだなあ。

 

 

次郎坊:当時のモーターショーのポスターも展示しています。こうしたデザインからも、当時の文化的状況がわかるんですよ。

池田:なんだか女の人ばかりですけども。

次郎坊:まだ、自動車というもの自体に馴染みがそれほどなかったんでしょうね。かなり抽象的なイメージになっています。

 

 

平田:これは通称「赤の間」と呼ばれている部屋です。自動車が出てくる漫画や音楽、映画などのポップカルチャーを集めています。漫画は手にとって読んでいただけますよ。

 

 

池田:『サーキットの狼』もありますね。

平田:そうそう、ここでハヤト・ピーターソンが……(しばしみんなで盛り上がる)

 

 

 

 

次郎坊:ここでは来館者のみなさんから、自動車が出てくるコンテンツにまつわる思い出を募集しています。

 

池田:熱量がすごい! みんなそれぞれの思い入れがあるんですね。『頭文字D』が人気あるなあ。

平田:映画だと『ワイルド・スピード』シリーズも、新作がどんどん作られていますし、要注目ですね!

池田:今でもクルマを描いた作品は生まれ続けていると。自動車は便利な道具であるだけでなく、文化を受け継ぐ存在でもあるんですね。

 

 

まとめ

というわけで、今回はトヨタ博物館をご紹介していきました。

思っていた以上、さすがの見応え! 今回紹介できたのは、豊富なコレクションのごくごく一部。クルマはもちろん、どんなプロダクトにだって歴史がある。いや、今まさに歴史を作っているんだなと思わされました。やっぱりものづくりってすごい!

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池田明季哉でした!

<企画・編集:株式会社LIG/撮影:二條七海>

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執筆者
池田明季哉(いけだ・あきや)

1986年生。デザイナー・ライター・小説家。スケルトンワークス代表。デザインに宇野常寛『母性のディストピア』(表紙デザイン)、石岡良治『現代アニメ「超」講義』(ブックデザイン)など。ライティングにDaily PLANETSでの連載『kakkoiiの誕生――世紀末ボーイズトイ列伝』(評論)、根津孝太『カーデザインは未来を描く』(構成)など。第26回電撃大賞受賞、2020年4月に小説家としてデビュー予定。ダイアクロンとミクロマンをこよなく愛するおもちゃオタク。
Twitter : @akiya_skeleton