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発明漫画家・見ル野栄司さんを取材してわかった製造業の未来とモノづくりのかっこよさ
謎の発明品を作り続ける漫画家がいる。そんな話を聞いたライター立石は、とある町を訪問。どちらかというと怖い物見たさで訪れた彼の前に現れたのは、エンジニア出身の漫画家・見ル野栄司さん。今回は見ル野さんに、製造業の未来やモノづくりの魅力についてお話を伺いました。
謎の漫画家と「超高速回転ラケット」
立石:こんにちは。ライターの立石ヒロシです。季節はもうすっかり梅雨ですね。ジメジメして髪の毛が縮れてしまいました。不快指数高まるこの季節、皆様はどう快適にお過ごしですか? 僕は空調を「ドライ」にしたまま部屋にこもりっきりです。
どうやらこの町に、数々の発明品を産み出している怪しい漫画家がいるというのでやってきました。とりあえず呼び出された部屋まで行ってみたいと思います。
立石:暑い……
立石:編集S氏から教えられたのはここの部屋やね。
(ピーンポーン)……(コンコン)……。
ごめんくださーい。
???:(ガチャ!!!)フフフ、いらっしゃい!!
立石:……間違えました(スッ)
???:いや、間違えてませんよ。
立石:あ、初めまして。どうも。僕はライターの立石ヒロシと申します。今日はニッケンで発見の編集部が梅雨のジメジメを吹き飛ばす面白いモノを見せてくれると言うのでやってきたんですが、そしてあなたはその面白いモノを作っているという漫画家ですか?
???:(スタスタと奥のデスクに座る)
見ル野:その通り、見ル野栄司といいます。こちらの大ベストセラー『シブすぎ技術に男泣き!』の作者です。
そしてここは私のラボ兼仕事場です。よろしく!
- 人物紹介:見ル野栄司
1971年生まれ。92年日本工学院専門学校メカトロニクス科卒業。
半導体製造装置やアミューズメントゲーム機などの設計開発の会社に9年勤務した後に、漫画家としてデビュー。「ビッグコミックスピリッツ」や「ヤングジャンプ」などで連載。代表作に『東京フローチャート』(小学館)『シブすぎ技術に男泣き!』(中経出版)など。
立石:おお! この漫画知ってます! 有名ですよね。そしてわざわざ漫画家っぽいポーズで自己紹介いただいてありがとうございます。
見ル野:いえいえ。では早速。(ガサゴソ)
立石:ちょっと待ってください! 出会って3秒で失礼ですが、どう見ても昼休みに卓球を楽しむ工場勤務のおっちゃんに見えます。
見ル野:あーいえいえ、これは私の発明品でして、「超高速回転ラケット」といいます。なんと1分間に3,600回転して“スーパースピンサーブ”が打てるんですよ!
立石:「超高速回転ラケット」だって!? あやしい……。それにこの部屋……。
立石:侵入してきた荒くれ者を狩る弓矢があるし……。
見ル野:それはインテリアのおもちゃです。
立石:他にも怪しいモノで溢れている気がします。
見ル野:いやいや、そうだな……、ほら、こういった道具で発明品を作ってるんですよ。
見ル野:これはフライス盤といって、部品を固定して回転するドリルや刃物で加工するための機械です。
立石:ほう……。
見ル野:他にも、えーっと……。
見ル野:ほら、工具や部品はこんな感じです。
立石:へぇ。モノを作っているっていうのはどうやら本当のようですね……。で、「スーパーピンポン大回転」でしたっけ?
見ル野:「超高速回転ラケット」です。1分間に3,600回転です。ほら、みてください。スイッチを入れると(ブイーン)。
立石:おお、なんかすごい回転だ。
見ル野:持ってみますか? 手元にあるスイッチを上げてみてください。激しく回転します。
立石:(ブォーン)ホンマや! 回転している。回転が速くなると若干フラついて手が持ってかれますね。
見ル野:使った人はまともにサーブが打てないと不満を言いますね。
立石:……なんでそんな意味不m……ユニークなモノを作ったんですか?
見ル野:単純に作ってみたかったからですよ! それに全国的にブームになれば大量発注が来て億万長者も夢ではありません。
発明とは好奇心と実利を併せ持つロマンなんですよ!
立石:(えらい自信だな……)
見ル野:それに、こんなマシンがあったら触ってみたくなるでしょ!?
立石:確かにそうですね。小学生なら絶対に触りたい。
立石:この剥き出しの後ろ姿が、逆に子供心をくすぐりますよね。これ作るのにいくらくらいしたんですか? 500円くらい?
見ル野:プロトタイプの制作費は10万円ですね。
立石:じゅ……!?
立石:製作費はともかく、持ってみると変な楽しさはありますよね、これ。
見ル野:でしょ!? 結構シンプルなつくりなんですが、高速回転するために水平精度が必要だったり、いろいろ苦労はあったんですよ。
立石:言うて、韓国のギャルがよく使ってる手持ちの小型扇風機みたいじゃないですかぁ。そもそも、本来の用途であるえげつないスーパーサーブとやらが、本当に打てるんですかねえ?
見ル野:ふふふ、すごいですよ。御託を並べても仕方ないので立石さん、
これで私と卓球勝負をしませんか?
立石:え、でも卓球台なんてどこに……?
見ル野:ヨイショっと。
見ル野:ほらこうすれば……。(床に転がっていた段ボールをおもむろにカットし、簡易卓球台を作り出す)
立石:えぇ……、そこまでしてやります〜〜〜?
見ル野:まぁまぁ、ものは試しです。せっかくの超発明ラケット、体験しない手はありませんよ。それに、勝負も発明もやってみないと始まらない。すべては些細なチャレンジから始まるのです。
立石:いいんですか? 僕、強いですよ? 幼い頃から『行け! 稲中卓球部』を何度も読み込んで卓球を研究してきた男の中の男ですよ?
見ル野:いやそれってギャグ漫画……。まあなんでもいいでしょう。かかってきなさい。我が発明品の恐ろしさ、見せてしんぜよう。
スイッチオン……
ブォーーーーーーン!!!
(「超高速回転ラケット」が唸りを上げる)
いくぞ!!
見ル野:えいッ!!(ポカ〜〜ン)
立石:無常にも球が明後日の方向へ飛んでいってますね。
見ル野:これ難しいな……。おかしいな……。
立石:……。
見ル野:いやいや、今のは立石さんを油断させるための罠です。勝負はこれからです。
ヤア!……。
立石:いや、全然入んないじゃないですか。サーブも、レシーブも。10回に1回くらいしか。
見ル野:いや、これ本当に扱いが難しいんですよ。端っこに当たるとどこに飛んでいくか分からない。真ん中に当たればたまにいいところに行くんですが、ええ。一流の回転を使いこなすには一流の技術が必要です。立石さんもちょっとやってみてください。
立石:このラケットは使い手を選ぶということですか? いいでしょう。
立石:うわッ、これホントに難しいですね! 暴れ馬のようなラケットだ。でもこれをむしろうまく使ってラリーが出来ると別のゲーム性がある……かもしれませんね。ラウンドワンに置いてあったら僕は使います。
見ル野:ね、面白いでしょう? 使ってみたくなるラケットだと思うんですよ。
ずっと改造し続けている「ラズベリーパイ自動画像ツイートG P S付きマシン」
立石:見ル野さん、卓球マシンはもういいので別の発明品を見せてください。
見ル野:これはどうです?
立石:うお!? ちょっとかっこいいじゃないですか。なんですかこれ?
見ル野:これはラズベリーパイっていうマイコンボードを載せたマシンですね。
立石:ラズベリーパイ?
見ル野:開発で使う基板のことで、工業系の人なら触ったことあると思うんですけど、これにカメラを仕込んで自動撮影でTwitterに写真を上げられるようにしたんです。
立石:ほう。ちょっとハイテク感が出てきましたけど、これは何を目的に作ったんですか?
見ル野:観察とか記録用ですね。1分に1回くらいの頻度で写真を撮影して、カラスの生態なんかを観察できればいいかなと。川に流したりして移動しながら観測するような使用法で考えていました。GPSもつけて、どこにあるのか確認しつつ。
最初は透明なボールに入れて川に放流しようとしたんです。でもそれだと回収できないことに気づいてしまって……。
立石:気づくの遅めですね。
見ル野:なので、放流しても戻ってこられるように水陸両用のラジコンに載せてみたわけです。さらに推進力としてモーターをつけてみたり。
立石:それで今の形状になったわけですね。
見ル野:はい。でもやっぱり推進力が弱くて、最近はウォータージェット機能をつけてみたんです。ジェット機のエンジンのような感じで、排出口を狭くすれば推進力が増すのではないかと。これがそのウォータージェットです。
立石:おお、けっこう風がきますね!
見ル野:でしょ? でもやっぱり推進力は弱くて、まだ改造の必要がありますね。
立石:動かしてみてもいいですか?
見ル野:どうぞどうぞ。
立石:うお、これまた操作が難しいですね!
見ル野:立石さん、うまいですね。
立石:こうやって狭いところにも入っていけるから、野生動物の観察向けに開発されているというのもうなずけますね。
見ル野:じゃあ今度は水に浮かべてみましょうか。
立石:水に浮かべても動くんですよね?
見ル野:見ていてください。
立石:うおおお! 動いてます!
見ル野:まだまだ推進力が弱いんでノロいのですが、ゆくゆくは海に流して戻ってこられるまでに開発を進めたいですね。
立石:これまでどれくらいかけたんですか?2〜3カ月くらいですか?
見ル野:かれこれ2〜3年はやってますよ。
立石:! それは年季が入ってますね。ちなみにこのマシンに名前はあるんですか?
見ル野:そうですね。「ラズベリーパイ自動画像ツイートG P S付きマシン」でしょうか。その放流実験を続けているわけです。ちょっとずつ改造しながらね。
立石:発明は1日にしてならず、ですね。
漫画家なのに発明品を作り続けているのはなぜ?
立石:他に発明品はないんですか?
見ル野:たくさんあったんですけど、部品を別の発明品に流用しているうちに全部なくなってしまって。過去の発明品のいくつかはYouTubeの私のチャンネルにアップしてますので、見てみてください。
立石:それにしても、なんでこんなに発明品を作っているんですか? 職業は漫画家なんですよね?
見ル野:もちろん漫画家ですよ!
ほらこちらを見てください。
立石:どれどれ。おお〜、漫画の原稿がPCの中にありますけど、これってデジタルで描かれてるんですか?
見ル野:ええ、クリップスタジオっていう漫画執筆用のソフトなんですけど、これでいつも描いています。
立石:漫画っていうと、紙とペンっていうイメージだったんで、意外です。
見ル野:私はもうずっとこれですね。ちょうど漫画を描き始めた頃に、クリップスタジオ、当時はコミックスタジオという製品名でしたけど、これが発売されてすぐに導入しました。もともとペンとインクで原稿を描くのがあまり好きではなかったし、原稿の管理もこれなら場所をとりませんしね。
立石:最初からハイテクな人だったんですね。さっきの質問に戻りますけど、漫画家なのに、なんで発明品を作り続けているんですか?
見ル野:漫画家になる前は、製造業のエンジニアだったんです。
子どもの頃からメカが好きで、自転車をバラしたり、スーパーカブを分解して裸にしたり、ってことをやって遊んでました。
高校を卒業してメカ系の専門学校に入って、卒業後に半導体製造装置を作る会社に入ったんです。
立石:半導体って、なんだか製造業の代表のような製品ですね。
見ル野:それから、会社が潰れて夜逃げしたり、開発中の製品に対して謎の警告文が送られてきたり、色々経験したんですけど。
詳しくは私の作品『シブすぎ技術に男泣き!』に描かれてます。
立石:夜逃げ! 面白そうですね。この本は最初に紹介してくれた作品ですよね。どれどれ。
見ル野:製造業の企業に取材して、素晴らしい技術や製品の開発秘話を解説するのがメインの作品なんですけどね。私が経験した話も描いているんです。
立石:あれ、この漫画だと見ル野さん、坊主頭ですね。若かったからですか?
見ル野:若い頃はずっと坊主だったんですけど、今は逆に面倒になってしまって髪を伸ばしてます。もうこのキャラが定着しちゃったんで、漫画ではずっとこの姿ですね。
立石:公式マスコットキャラみたいになっちゃたんですね。ニッケンで発見のサイトでも公式のキャラで「藻野つくり子」って女子キャラがいるんですけど、いつか漫画に登場させてくださいよ。製造業系キャラのよしみで。
このキャラです。
見ル野:いいですね〜。考えておきます(笑)。
見ル野さんが語る、モノづくりのかっこよさ、製造業の未来
立石:エンジニアから漫画家になって、でもまだ発明品を作ったり、エンジニアとしてのスキルを活かして活動しているんですね。
見ル野:ものを作るって、純粋に楽しいんですよ。
製造業って、流れ作業でものを作るライン工のイメージが強いですけど、実は一品ものを2カ月くらいかけて製作するって仕事も多いんです。
部品を一から作って、設計図通りに組み立てて、形になったら動作させて、うまくいかなかったら部品を改善するなど試行錯誤して完成させるのです。
立石:そんなふうに聞くと、パズルゲームみたいで面白そうですね。
見ル野:実際、面白いですね。創意工夫で新しいものを作るのって、いつもワクワクするんです。それにかっこいいんですよ。何もないところに、大きな機械を作っちゃうんですから。
立石:かっこいいしワクワクする、ですか。確かに。だから発明品を作っているんですね。
見ル野:誰もこんな製品は思いつかないだろ、っていうものを作りたいんです。この「超高速回転ラケット」もそうですね。すごいスピンサーブを打ちたい!という欲求や発想を、こうやって形にしてるわけです。
立石:楽しいとは思うんですけど、実際に使ってみるとうまくサーブが打てないし、無駄じゃないですか?
見ル野:いや、一見無駄に思えることこそ、実は新たな発明のタネになるので、まずはやってみることなんですよ。
例えば、四輪のタイヤが進む方向を、前輪と後輪で逆にしてみます。当然、どちらにも進めなくなるはずなんですけど、特殊なタイヤにして回転方向を制御すると、旋回したり真横に進めたりするようにもなります。オムニホイールっていうんですけどね。
立石:へーー! 無駄なものにこそ発明の神は宿るんですね。でも、僕とか子どもの頃から工作が苦手で、バリバリの文系なんですけど、こういう人でも製造業で働けますか?
見ル野:文系の人でも、それこそ引きこもりの人だって、製造業で働けますよ。ライン作業は本当に簡単にできるようになってますから。
最近は仕事が簡単なだけじゃなくて、工場はキレイになったし、女性も働いているし、きつい仕事というのはほとんどなくなりました。
立石:いわゆる3Kじゃないんですね。
見ル野:ええ、何より食堂も良くなりました。
立石:工場の食堂ですか?
見ル野:キレイになったし、おいしくなりました。会社によってサービスは違いますけど、香川県の工場ではうどんがタダだったり、体力が必要な工場では肉がおかわり自由だったり、ふところに優しい食堂も多いんです。
立石:それは魅力的ですね。普通に働きたくなりますよ。製造業ってかなり良い環境になってるんですね。
見ル野:雇用に関しても、地方で積極的に若者を雇用しようと言う流れがあって、助成金とか減税などで国が補助していました。AIやオートメーション(自動化)が心配と言う声もありましたけど、実際にはAIやロボットは高額なので、失敗したら工場が傾くから、大手でもない限りなかなか導入は進んでいないんです。
立石:まだまだ人の手による作業は必要なんですね。
見ル野:新型コロナウイルスで雇用が減ったという話はありますけど、日本はグローバル化の推進にブレーキをかけて、国内に工場を戻そうという話が出ています。製造業だけでなく、食品工場なんかもまた国内で盛んになるんじゃないでしょうか。
立石:うーん、聴けば聞くほど製造業の時代が来る流れですね。
見ル野:もし工場など製造業で働こうか迷っている人がいたら、まずはやってみることを勧めたいですね。
やってみたら面白いことって、よくあるじゃないですか。自分で作業をカスタマイズして面白くすることもできるし、未経験でも真面目に取り組めばライン長になってパートの人を管理したり、開発に回ったりして出世もできます。
日本の製造業は、これからさらに元気になっていきますから、迷うくらいなら働いたほうが絶対に良いですよ。
立石:なるほど、ありがとうございました。見ル野さんって、変な発明品ばかり作っている怪しげな漫画家だとばかり思ってましたけど、モノづくりをこよなく愛し、製造業の未来を信じている熱いハートのエンジニア系漫画家だったんですね。
見ル野:そんなふうに思って来ていたんですか……。
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まとめ
〜数日後〜
立石:見ル野さんって、製造業の会社をたくさん取材しているから、話がリアルで面白かったなあ。そんな見ル野さんが製造業の未来を明るく感じているんだから、工場で働く人たちの未来もきっと明るいに違いないぞ。
ブブー(メール着信通知のバイブレーション)
立石:あれ、見ル野さんからだ。
おお、これは! 早速コラボしてくれたなんて嬉しい〜! 見ル野さん、ありがとう!
見ル野:製造業の未来が明るいことを願って。記念にどうぞ。
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執筆者/立石ヒロシ
1986年生まれニュータウン育ち文京区在住。兵庫県立北須磨高校出身。ライター、インターネット珍獣ハンター。パンクロッカー、私立探偵、食客、マーケットリサーチャー等の職を経て現在無一物。世の中に無限に生起しては消えていく曖昧なできごとに斬り込み真実と虚構を止揚していく。過去の担当書籍に『「絶望の時代」の希望の恋愛学』(中経出版) 、『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』(KADOKAWA)等があるかもしれない。
Twitter:@mychingmachizo
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〈企画・編集:株式会社LIG、撮影:岡田佳那子〉