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2021/07/28

スマートファクトリーとは?実際の事例やそこで働くための方法をご紹介

モノづくり

製造業では、効率化や人材不足が課題となっています。そのため、昨今は「スマートファクトリー」が注目を集めており、生産性の向上や品質改善、さらには人材不足の問題解決が実現しています。 そこで今回は、スマートファクトリーの概要をはじめ、メリットや国内の成功事例をご紹介します。また、スマートファクトリーで活躍する職種についても解説しているので、ぜひご参考ください。

①スマートファクトリーとは?

「スマートファクトリー」という言葉を耳にしたことがあっても、具体的にどのようなものなのかわからない方は多いはず。以下にて、スマートファクトリーの意味・定義や起源を解説します。

 

意味・定義

スマートファクトリーとは、AIやIoTなどのIT技術を既存の工場に取り入れ、「品質」ならびに「生産性」を高めた工場のことを指します。ロボットを使った従来の機械化とは異なり、スマートファクトリーではIoTセンサでデータを取得。そのデータをAIが分析して結果を反映することによって、効率化が実現する仕組みです。

 

起源

スマートファクトリーが注目されるきっかけとなったのは、ドイツ政府が主導するモノづくり革新プロジェクトの「インダストリー4.0」です。これは別名「第4次産業革命」と呼ばれており、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのIT技術を取り入れて製造業の変革を目指したプロジェクトです。このデジタル変革に影響を受けた日本は、スマートファクトリーを推進するための「コネクテッドインダストリーズ」を提唱。これにより、日本でもスマートファクトリー化が進むようになりました。

 

②既存工場をスマートファクトリー化するメリット

では、既存の工場をスマートファクトリー化することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

人材不足の問題解決

第一に「人材不足の問題を解決できる」というメリットがあります。これは、スマートファクトリー化によって自動化できる作業が増えることで、省人化を図れるためです。

また、スマートファクトリー化は人材育成にも効果的です。スマートファクトリーの場合、技術者の動きをカメラにおさめてAI分析を行うことにより、必要な知識や技術などを体系化することができます。これをマニュアルにすれば全社員に共有しやすくなり、同じ認識のもと作業を進めていくことが可能になるでしょう。

効率のよい人材育成を行えるようになると、これまで経験者しか採用してこなかった企業も、未経験者の募集を視野に入れられるようになります。つまり「未経験者の採用+人材育成の効率化」を実現できるため、人材不足を解決しやすくなります。

 

データ活用ですべてを可視化できる

「データ活用ですべてを可視化できる」という点も、既存工場をスマートファクトリー化するメリットのひとつです。稼働状況や製造実績などの情報をデータ化することによって可視化でき、かついつでも確認できるようになります。

さらに、そのデータはリアルタイムでどこからでも確認できるため、工場長や製造管理者が外出先で工場全体の状況を把握することも容易になります。仮に稼働速度の低下が見られたら、「何が問題になっているのか」をすぐに確認することが可能。これにより、ボトルネックの解消や早期のトラブル解決を実現しやすくなります。

データを可視化することによって適切な現場判断をすぐに下せるようになれば、製造ラインを止めることなく稼働し続けられるようになります。

 

③スマートファクトリーの国内成功事例4選

ここでは、実際にスマートファクトリーで成功した国内の企業を4社ご紹介します。

 

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社は、国内外に生産拠点を持つ総合空調メーカー。今では国内外を問わず同品質を維持していますが、海外へ進出するにあたりネックになったのが「熟練技術者の不足」。そこで、国内と同等の品質を維持するためにスマートファクトリー化を進めたそうです。

ダイキン工業株式会社は、スマートファクトリーによって熟練技術者の動きをAIで分析。そこで得たノウハウをマニュアル化することで、あとから入社してくる社員の技術習得に役立てました。

 

久野金属工業株式会社

久野⾦属⼯業株式会社は、プレス部品の工法開発から二次加工まで一貫して行っている金属加工メーカーです。同社ではICTを徹底活用しており、その狙いには「製造工程の自動化」「職人技のノウハウを仕組みに置き換え、人への依存度を下げる」「省力化・省人化につながるコストダウン」といった点を挙げています。こうした狙いのもと独自のシステムを開発しスマートファクトリー化することで、現在は稼働率や生産性の向上、人件費を抑えることに成功してます。

 

株式会社デンソー

株式会社デンソーは、先進的な自動車技術やシステム、製品を提供する自動車部品メーカーです。世界130の工場をIoTの技術でつなぐ「Factory-IoTプラットフォーム」を独自に開発し、各工場の機器からデータを収集して、ひとつのクラウドに蓄積。収集したデータを自由に活用できるようにすることで、稼働状況や作業者の動きを把握し、リアルタイムでの分析を実現しています。
さらに、スマートファクトリーによって各地の需要に合わせた生産変動も可能となっているため、グローバルな生産体制の強化を図ることに成功しています。

 

株式会社日立製作所

大手の電気機器メーカーである株式会社日立製作所は、生産ロスの改善を図る目的としてスマートファクトリー化に取り組んでいます。そして、稼働状況や生産実績、さらに原材料や品質データを掛け合わせることによって生産工程を可視化し、生産ロスの改善を図ることに成功しています。

 

④スマートファクトリーで働くには?

では、スマートファクトリーで働くにはどうすればよいのでしょうか?

 

設備保全職として働く

スマートファクトリーで働く方法のひとつに、「設備保全職として仕事に就く」が挙げられます。

設備保全職は、「事故やトラブルを防ぐ」「生産ラインがストップし収益が低下するのを防ぐ」などの重要な役割を担う仕事です。本来であれば、スマートファクトリー化が進むと省人化しますが、機械をメンテナンスする設備保全職は不可欠な仕事です。そのため、スマートファクトリーで働くことに強いこだわりがある場合は、設備保全職を目指すのが効率的といえます。

設備保全職の具体的な仕事内容には、「事後保全」「予防保全」「予知保全」の3つが挙げられます。事後保全は、機械に不具合が生じてから行う保全活動。予防保全は、不具合を事前に予防するために行う仕事です。そして予知保全は、機械の状況を定期的に確認して予防する作業を指します。

なお、設備保全職の仕事については以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

設備保全って何?設備保全の種類や必要スキルについて

 

実際に働かれている方の声

「自分に設備保全職が務まるか不安」という方は、実際に働く先輩の声をぜひご参考ください。

 

【2018年入社 龍田 圭佑 製造マシンのメンテナンス】

スタッフ

 

大学は経済学部でしたので工具の使い方もわからないところからのスタートでした。ただ、そんな自分でもテクノセンター という施設で研修してスキルを身につけることができました。座学で知識を身につけるのはもちろん、図面を見ながら配線を組んだり実技の研修もしました。同時期に入社した同期たちと一緒に技術を身につけていくのは、やりがいもあって楽しかったですね。

 

研修終了後は自動車を製造するマシンのメンテナンスを担当しています。テクノセンターで研修したとはいえ、最初は自分にできるか不安でしたがチームの先輩がサポートしてくれたので安心できました。誰もが知っているような自動車メーカーを支えている仕事だと思うとやりがいを感じますね。今はまだまだ勉強中の身ですが、常に自分で考えて動けるように意識しています。後輩ができたら今度は自分がサポートしてあげられる存在になりたいです。

引用:社員インタビュー 龍田 圭佑|日研トータルソーシング株式会社

 

 

【12.13年入社 古川 佑也・有川 翔平 半導体メンテナンスオペレーター】

スタッフ

 

古川:私たちの仕事は半導体を作る機械装置の定期メンテナンスとトラブル対応です。いわゆる保全マンと呼ばれる仕事ですね。もっと分かりやすく言うと「機械のお医者さん」です。メンテナンスは、ざっくり言うと付いているパーツを外して洗浄されたパーツを取り付けます。機械装置の台数が多いので全部いっぺんにやる訳ではなく、「今日はこの機械を交換する」といった具合です。

 

有川:トラブル対応は、トラブルが発生したら自分たちのケータイにアラームが来るんですけど、そのエラー内容を報告して修理したりパーツ交換したりします。

 

古川:よく、難しそうな仕事と思われます。が、最初は手こずるかもしれませんが、3ヵ月もあれば大丈夫ではないでしょうか。

 

有川:基本的なことは日研のテクノセンターで学べます。しかも研修中もお給料がもらえるので費用面でも心配はないです。入社してからも実務の研修をきちんと行います。現場の工場は広いですけど、扱う機械の場所もだいたい同じだし、私たちからも作業内容で必要なことはお教えしますので、初めから専門知識が無ければダメということは全く無いです。未経験でも安心して挑戦できる仕事ではないかと思います。

 

引用:社員インタビュー 古川 佑也・有川 翔平|日研トータルソーシング株式会社

 

工場で働く先輩の声はこちらから

⑤まとめ

スマートファクトリーは、作業効率や品質の向上、省人化など、モノづくりの現場において大きなメリットが得られるとして注目を集めています。この先、スマートファクトリー化によって人の仕事をIoTがやるようになると人材募集が減ってしまいますが、設備保全職に関しては自動化することはありません。そのため、これから製造業への就職を目指す方は、設備保全職を視野に入れみてはいかがでしょうか。