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クリーンルームのクラス目安とは?服装や半導体工場の主な仕事内容も解説
半導体工場の募集要項などでしばしば目にする「クリーンルーム」とは、簡単にいうと、一定の条件下で不純物を取り除いた環境を保つように設計された部屋のことです。
不純物がある環境では不良品などを生み出してしまいかねない、半導体工場など精密機器の製造現場や、結果に影響をおよぼす検査・研究などの現場において使用されています。
なお、クリーンルームでの仕事には「きつい」「しんどい」といった声も聞かれ、ストイックなイメージがあります。それは本当なのか? また、なぜそのように評されているのでしょうか?
本記事ではクリーンルームの概要から、導入されている目的や業界、クリーンルームで働く際の注意点などを紹介します。
クリーンルームとは
クリーンルームとは、室内のホコリやゴミ、細菌などの不純物を、限定された数以下の清浄度(クラス)に保ち、管理する部屋のことです。防塵室(ぼうじんしつ)と呼ばれることもあります。
なお、コンタミネーションコントロール用語のJIS Z8122 4001では、以下のように定義されています。
空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度圧力などの環境条件についても管理が行われている空間。
参考:コンタミネーションコントロール用語 JIS Z8122 4001より一部抜粋
これを簡単にいうならば、クリーンルームとは「目に見えないホコリや細菌などを許容レベルまで排除し、場合によっては温度・湿度・質圧を一定に保てるように管理した部屋」ということです。
こうした要件を実現するために、クリーンルームでは、塵埃などを「持ち込まない」「発生させない」「堆積させない」「排除する」という四原則の厳守が徹底されています。
クリーンルームを導入する目的
クリーンルームを導入する目的は、不純物の付着が品質に影響をおよぼす製品の製造・加工、あるいは結果に影響を及ぼす検査・研究を正確に実施することにあります。
たとえば半導体の製造では、小さなホコリ等の付着は絶対に許容されません。また、食品加工においては、細菌の付着や繁殖は品質に過大な影響をおよぼし、最悪の場合は食中毒を引き起こす原因ともなりかねません。
さらに、ホコリや細菌だけでなく、使用する薬剤や洗浄水、人間の汗などによっても製品の品質は左右されます。そのため、温度や湿度なども管理しながら不純物を取り除き、室内の清浄度を一定に保つことで、製品・検査・研究の品質維持がなされる厳密な環境が求められているのです。
クリーンルームが導入される業界
クリーンルームが導入されているのは、主に次のような業界です。
●半導体製造
●精密機器加工
●薬品・食品加工
●自動車部品工場
●手術室・治療室
なお詳細は後述しますが、製造する製品や工程によって、クリーンルームに求められる清浄度(クラス)は異なります。たとえば半導体の製造現場は最高レベルのクラス3~5が適しているため、徹底した塵埃管理が求められます。
多くの人や備品、材料が行き来する工場などでは、いくら清掃を徹底していても、目に見えない微生物やゴミが発生します。製品製造においては不良品や欠陥品、食品・加工では食中毒被害を増やすことにもなりかねません。
こうしたトラブルを製造段階から防ぎ、製品の品質を保つためにクリーンルームが導入されています。
>>【関連記事】半導体工場ではどんな仕事をする?きつい?職場環境や年収について解説
クリーンルームでの服装
クリーンルームでは、次のような「クリーンウェア」と呼ばれる専用服を着用します。
クリーンウェアは、低発塵性のクリーンルーム専用衣類です。防塵服や防塵衣、無塵服、無塵衣、クリーンスーツなどとも呼ばれます。
ホコリやゴミなどの不純物の発生源は、作業者あるいは作業者に付着したものが大半とされています。そのためクリーンウェアの果たす役割は大きく、作業者自身をクリーンウェアで覆うことで不純物の発生を抑え、クリーンルーム内の清浄度を保っているのです。
そのほか、クリーンウェアは異物混入や静電気の発生を抑える目的でも使用されています。
クリーンルームの方式
クリーンルームには、いくつかの方式がありますが、大きく「一方向流方式」と「非一方向流方式」の2つに大別できます。
一方向流方式 | 非一方向流方式 | |
---|---|---|
特徴 | 吹き出し口と吸い込み口を対面に設置し、一方向に絶えず空気を流し循環させる方式 | 吹き出し口と非対面に吸い込み口を設置し、複数方向に乱れた空気流を作り、不純物を拡散する方式 |
清浄度 | 1~100 (ISOクラス3~5) |
1,000〜100,000 (ISOクラス6〜8) |
エネルギー消費 | 高 | 低 |
主な用途 | 手術室、無菌病室、半導体工場など | 精密工場、薬品・食品工場、印刷工場など |
一方向流方式では、空気を一方向に絶えず流し続けます。空気が滞留することなく流れ続けることで、不純物の蓄積・堆積を防ぎ、高い清浄度を維持する仕様です。
一方、非一方向流方式では、複数方向に乱れた空気の流れを作ることで、室内の清浄度を保つ方式です。一部、空気流が滞留するエリアが出てくるため、一方向流方式よりも清浄度は低くなりますが、導入コスト・ランニングコストは安くなる傾向です。
一方向流方式:吹き出し口と吸い込み口を対面に設置
一方向流方式は、天井や壁に設置したHEPAフィルタやULPAフィルタなどの高性能フィルタから発せられる清浄な風を、対面に設置した吸い込み口に向かって一定方向で流す方式です。
一方向に風を送り絶えず循環させることで、不純物の侵入・滞留・蓄積を防ぎ、高い清浄度を保ちます。特に特定のエリアの清浄度を保つことに長けており、半導体工場や手術室、無菌病室などに用いられます。
なお、フィルタから一方向に風を送り続けるため高い清浄度の維持管理ができる一方で、エネルギー消費が高く、設備費や維持費もかさみがちな点がデメリットです。
非一方向流方式:吹き出し口と非対面に吸い込み口を設置
非一方向流方式は、天井や壁に設置した高性能フィルタから複数方向に乱れた空気の流れを作り、不純物を均等に拡散してクリーンルーム内の清浄度を均一に保つ方式です。乱流方式とも呼ばれます。
一方向流方式とは異なり、空気流の滞留が発生する箇所があるため、一方向流方式よりも清浄度は劣ります。しかし、エネルギー消費は低くなるので設備費や維持費は比較的抑えられます。
また、空気流が複数方向に乱れているため、作業領域が限定されず柔軟な配置が可能な点も特徴です。用途の幅も広く、精密工場や薬品・食品工場、印刷工場などに用いられます。
クリーンルームの清浄度のクラス分け
クリーンルームは、JIS規格およびISO規格により、清浄度ごとにクラス分けされています。これは簡単にいうと、空気中に含まれる不純物の量や大きさによって、清浄度のランクが決まっているということです。
清浄度クラスは1963年に制定された米国連邦規格が基本とされていましたが、2001年11月以降はISO規格に統一されています。ただし、日本ではいまも米国連邦規格を用いるケースも見られます。
画像引用元:BECKMANCOULETR クリーンルームの規格(ISO 14644-1)
清浄度クラスは、1㎥あたりの空気中に含まれる0.1μm以上の粒子の数で決まります。たとえば、ISOクラス3の場合は、1㎥の空気中に粒径0.1μmの粒子が1,000個あることになります。
なお、クラス数が小さくなればなるほど、清浄度は高くなります。そのため、たとえば極めて高い清浄度が必要とされる半導体製造工場や手術室などでは、クラス3~5レベルのクリーンルームが最適となります。
クリーンルームで行われる主な仕事内容
クリーンルームで行われる主な仕事には、次のようなものがあります。
●検査
●組み立て作業
●オペレーター
●保全・メンテナンス
クリーンルームでは精密機器などミリ単位の部品を組み立てて製品にする作業や、異物の混入や動作不良品などを調査する検査工程などが行われます。
どの仕事内容も細かい作業となるため、業務には手先の器用さや集中力が求められます。
クリーンルームで働くときの注意点
クリーンルームで働く際には、クリーンルームの特性を毀損してしまうような行動は絶対に避けなければいけません。そのため、以下のような点を徹底します。
●クリーンウェアを身につける
●体調を万全にする
●化粧品・整髪料は使わない
クリーンルームの仕組みによって、不純物の侵入や滞留・蓄積が防げたとしても、出入りする人が持ち込んでは意味がありません。クリーンルームに入室する際は、クリーンウェアの着用は必須です。なお、不純物の発生を招きかねないため、化粧品や整髪料の使用は許されません。
また、クリーンルーム内で咳やくしゃみをしてしまうと不純物が拡散してしまいます。体調管理の徹底も厳格に求められる要件です。
クリーンルームでの仕事はしんどい?
「クリーンルームでの仕事はしんどい」。そんな声はしばしば聞かれますが、それが正しいのかそうでないかは「人による」としかいえません。
クリーンルームでの仕事の特徴として、細かい作業が多くなることがあります。そのため、集中力がある人や細かい作業が得意な人には向いています。一方、集中力が続かない人や単調な作業が苦手な人には、クリーンルームでの仕事の適正には疑問符が付きます。
また、清浄度の高い密閉空間で働くことになるため、閉所恐怖症気味の人にとってもクリーンルームでの仕事は難しいでしょう。
クリーンルームで働くのに向いている人
クリーンルーム内での仕事に向いている人の特徴は次のとおりです。
●細かい作業が得意・好きな人
●集中力がある人
●清潔な場所で働きたい人
●最先端のモノ作りに興味がある人
クリーンルームでは、半導体や電子部品などミリ単位の部品を組み立てる最先端の精密機器の製造や、目に見えない異常を顕微鏡で検査する作業などが実施されます。そのため、細かい作業が得意な人や、最先端のモノ作りに興味がある人に適性があるでしょう。また、集中力を維持する能力も求められます。
なにより、クリーンルームでの作業は清潔な場所で働きたい人にもおすすめです。目に見えないレベルで清浄度が保たれているため、アレルギー体質の人や汚れが気になる人にとっては、クリーンルームは理想的な職場環境となるでしょう。
>>【関連記事】工場勤務の知られざる魅力とは?「つらい」のイメージで決めつけない、製造業で働きたい人のための情報
クリーンルームで働くのが向いていない人
一方、以下のよう人はクリーンルームで働くのは向いていないかもしれません。
●細かいルールが苦手な人
●単純作業・反復作業が苦手な人
●閉所恐怖症の人・近い症状がある人
クリーンルームでは、清浄度を保つためにメイクや整髪料の使用が禁止されていたり、入室の際には必ずクリーンウェアを着用する必要があったりと、厳守すべき細かいルールが複数存在します。こうしたルールを守るのが苦手な大雑把な人は、クリーンルームでの仕事は向いていません。
また、クリーンルーム内では集中力が求められる単純作業や反復作業が大半となり、仕事中は基本的に周囲のスタッフと会話することもありません。さらに、清浄度を保つために密閉された空間での仕事になるため、単調な作業が苦手な人や閉所恐怖症の人、それに近い症状がある人がクリーンルームで働くのはおすすめできません。
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まとめ
クリーンルームは精密機器や食品などの製造において、安全性や正確性といった品質を担保するために欠かせない設備です。
厳格な管理が求められるクリーンルーム内での作業は、「製品を安全に世に送り出す」という大きなやりがいのある仕事です。細かい作業が好き、最先端のモノ作りに興味があるなどの適正がある人は、クリーンルームでの仕事を前向きに検討してみましょう。
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